平成19年1月吉日

財団法人新渡戸基金  

理事長 小野 繁  

 

新渡戸稲造著『幼き日の思い出』の出版について

 

財団法人新渡戸基金の活動に皆さまのご支援をいただき誠にありがとうございます。

 さて、新渡戸稲造著『武士道』が多くの人たちによって見直され、各社各様の『武士道』が師走の書店に飾られております。他方、第二の『武士道』と言われる新渡戸稲造の英文の著書に『幼き日の思い出』があります。

 『幼き日の思い出』は稲造がビクトリアで没した翌年、メリー夫人が英文を校閲し、さらに自らはしがきとエピローグ等を加え、昭和9年に丸善から出版されました。この本が英文であったため、昭和45年に『新渡戸稲造全集』が教文館から出版されるに当たり、令孫加藤武子さんが訳を担当し、初めて一般にも日本語で読まれるようになりました。今回、財団法人新渡戸基金では英文原本と邦訳を合本して出版します。

 日本語訳は加藤武子さんに、英語の原本は武子さんの長女幸子さんに校閲していただき、英語・日本語とも吟味しました。

 事務局では今年8月から作業にあたり、加藤武子さんと連絡をとりながら語彙・表現等をチェックし完璧とすべく努力して出版するに至りました。

以上が『幼き日の思い出』が新しく日の目を見るに至った経緯です。

 新渡戸研究家はもちろん一般人にとっても『武士道』を縦糸とし、『幼き日の思い出』は横糸となるもので、必読の書です。

 是非ご高覧いただきますようご案内申し上げます。