「一日一言」の初版は大正4(1915)年2月、実業之日本社から出版された。
新渡戸稲造が東京女子大学の初代学長に就任、国際連盟事務次長に転じて、
任期を終えた時期の昭和元(1926)年までに84版を重ねるロングセラーとして
国民の間に愛された本である。
財団法人新渡戸基金は平成14(2002)年、新渡戸稲造生誕140年を迎え、
翌年は博士没後70年という節目の年にあたり、「一日一言」を復刊した。
(一部現代語に手直し)
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序 新渡戸稲造
その日その日の教訓になる格言を聞いて、一日の精神的食料に供することは
誰人にも望ましき事であって、外国においては種々な形において行われている。
わが国においても、近来この目的をもって世に公にされた書物は少なくない。
我輩も数年以前より、自分の助けとなった格言を集めて世にわかちあいたいと望んでいたが、
暇なきため実行しかねていた。しかるに、この秋、負傷して某所に湯治の際、思わずも
ある青年の痛ましい経験を聞いて、急に本書を綴ることを決心した。
世に行われているこの種の書は、多くはキリスト教的の性質を帯びているために、
その教理を知らぬものには解し難い句がある。また外国の書をそのままに翻訳したものも
行われているが、これも、西洋思想に接している人にあらざれば解しえぬ句がある。
本書が既出の類書に比していささか特長とすべきは、文章の簡易な点と短き点とである。
・・・・・(以下 書籍「一日一言」をご覧ください)