一日一言(いちにちいちげん)
新渡戸稲造 著
2002年10月15日発行 1,500円(消費税込)
B6判 220ページ
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発刊の辞 財団法人 新渡戸基金 事務局長 内川永一朗 |
序 新渡戸稲造 |
一月初めの一歩/決心の持続/決心の実行/決心の実行は平素/虚心/足らで足るを知る/意思は人なり/決心の妨害/天を恨むな/感謝の念の力/本来の悪なし/己をもって人を計るな/寵愛の油断/隠れたる力/人生の目的/主従の協力/理を身に体す/耐忍/一道の光明/善を行うに遠慮するな/得意の時の我儘/蕃山遺訓/異説を容れよ/小因大果/雲は一時/文芸も人なり/男らしきは優しきなり/気の包容力/己の愚を他人に嫁すな/家庭の円満/抑の一字 |
二月人いずくんぞかくさんや/疑うよりは信ぜよ/小人の尺度/顔より心/我必ず聖ならず/真の慈善/心の貧しき者は幸いなり/善と悪/負けて勝つ知恵/天性を発揚せよ/万の国に勝たれたる国/君子の争/金銭/堅忍不抜/古塚はこれ多くは少年の人/西行と日蓮/君子の父/禍福の標準/私無き行為/愛の足らぬ証拠/六憎/偉大なる凡人/外柔内剛/思いやり/品性は人の主/無用の人なし/せなばならぬ事/いわゆる栄辱/わが物と思えば軽し |
三月中根東里の壁書/慈眼慈心/幼児の心/貧を招く基/悪に敵することなかれ/気骨あれ/富貴羨むに足らず/身を任せて祈れ/理想は近きにあり/国に尽くす道/一時一義務/安息日/人をのろわば穴二つ/五箇条の御誓文/隴を得て蜀を望む/荒きは強気にあらず/遠回り/一家親戚の親睦/楽翁公遺訓/目下に対する心得/僧俗を救う/急ぐなかれたゆむなかれ/思想は不老不死/平家を滅せる者は平家/大勇を養え/世人みな試験官/名よりも業/徳川家宣遺訓/権栄富貴に対する態度/時には耳を閉じよ/まず動機をただせ |
四月蘇生/不憫の情/万代も乱れぬ道/小より大生ず/悲境の人を見棄つるな/蜀山人の歌/故人に感謝せよ/仏陀の徳/倹約は先王の道/千年も空しからん/安心が油断の元/他人の批評を慎め/人の善悪/深く思え/親の心/天は公平/家康の人生観/人皆我に好意を有す/人間皆相持の世/胸の虫を駆除せよ/学問の心得/人格は交際の対象/恩を施しては忘れよ/天の使/徳川家宣公遺訓/誠の知恵/真の勇、真の忠/我も罪人/辛甘その身にあり/気込が大切 |
五月我を棄てよ/脇坂義堂自戒/賢愚の分かるる道/濁るも水の習/花の散りし後/石川丈山遺訓/急ぐなかれ/心一つの持ちよう/目前の義務/人の後言すべからず/人より受けた恩義/人にたよるは卑劣/自戒三訓/吹くに任せよ/道のため/克己復礼/他人の内事を告ぐる人/ハーグ・デイ/よし悪し共に慰みとなる/我が心を守れ/淫戒/坊主と袈裟/信じて疑わざる心/伊達政宗座右銘/武将の三勝/嫉みと妬み/曲解を憂うるな/口開いて腸見せる/神を見る力/気と振/潔き散り際 |
六月雑草の中の薬草/凡人匹夫を遇する道/学は知りて行うにあり/人の用に立つが最高の勤/人の周囲は人の力で作れ/口に祈る事を身に行え/博学と大徳/無慾の幼心/断じて行えば鬼神も避く/光圀卿の教訓/行為の及ぶところ/小早川隆景壁書/長者に対する礼/威ありて猛からず/唯我独尊/唯一日/死は待つべし/無意識の犯罪/心は唯一の隠家/親しんで狎れず/小前の者の人格/労働は天の法則/平和は人生の常態/宗教と忠義/祝意は形式に流るるな/畜類にひとしき身/時が遷れば務めも変わる/努力には必ず報あり/君子は愚なるが如し/倦まずして働く力 |
七月思い立ったが吉日/涙に宿る月の影/野の百合花/天の前には皆平等/李下の冠瓜田の履/間断なき努力/目を空に放て/人を敬え/困難は心の力を計る器/襤褸も錦/常識の軌道/君子は和すれども同せず/落ち着きて思慮せよ/去る者は日々に疎し/以心伝心/自由の導きゆえん/命をかけて守るもの/母の愛/考の一字/最高の知識/物の要不要/心の転居/心よりせよ/友道/直諫せよ/今のただ今/蕃山遺訓/粒々辛苦/自ら恥じ/明治天皇祭/交際の道 |
八月永遠の勝ち/個人の責任/水田に立てる賤/物の本末/何ぞおごりを生ぜん/信仰の自由/最後の十五分/色眼鏡を掛けるな/天の授けし重荷/心の番人/ただ現在のみ/運は待たぬ者に来る/太閤の遺訓/これを近きに求めよ/意志あれば道あり/貧富間の懸隔/勇気と忍耐/働きと休み/疾病の使命/細川幽斎遺訓/因と果/善悪の取捨/力の善用/気をもって先導とす/藤樹先生の自戒/愛敬の本/人と見よ人/気長にやれ/人の思い子/重荷曳く車の音 |
九月四恩/自ら欺くもの/汝の敵を愛せよ/実が入ると稲はうつむく/栄枯盛衰は世の習/罪を転嫁するな/裸で貴かれ/千代の句/互いに容れよ/巧言令色/我は人の人なり/各人の使命/死を説明するは生/心の闘い/善行する日が吉日/旗文/得手勝手の弁護/召使に同情せよ/生存の法則/欲の学理/好意の勧誘/大発見の初段/退いて己に問え/天を相手にせよ/発芽も収穫も天意/災の導火線/徳の競争/寛宏なれ/倹約の仕方/光陰矢のごとし |
十月銭遣い/愛の根元親子の愛/一筋に心定めよ/君子は下問を恥じず/勤めざれば知り難し/甘き舌/生も死も道のため/平素の修養/要は平生にあり/無意識の徳/愚者に勝る愚/行脚の掟/戊辰詔書/腹を立てるな/人は器械にあらず/善根を移植せよ/天に財を蓄えよ/細心大胆なれ/貯蓄の真意/奇々妙々の世の中/義務は無限数/清濁併せ呑む/傲慢の心/人の恩/心の見苦しきを思え/人生の新陳代謝/一粒万石/忠と信/世辞追従/畏き聖旨/真砂の数 |
十一月有罪と無罪/物知り顔/腹立った時の顔/富貴と貧/かおりは一つ/貧乏の元手/口は禍の門/追憶の楽しみ/誠は世界共通の旅券/礼/義と恩/狭き門より入れよ/職務を重んぜよ/天来の慰藉/東里先生壁書/人生の最も危うき時/正しき判断/知らんとせば行え/永遠日光に浴す/同じ谷川の水/角一つあれ/天地の力は殻にこもる/至大至高/冷静に争え/信と疑/礼譲/誠の信の験/良知の道/大河は山麓を回る |
十二月恨み受けても恵みを播け/玉にも瑕あり/癇癪の土産/心配の仕溜/世の交わりの道/死に応ずる心得/善言に耳を傾けよ/慈善とは何か/善意に解せよ/無価の宝/衆生本来仏なり/知るは行うため/善は急げ/義と法/地金は必ず現わる/縁の絆/心に在ます神/心のみが人なり/心の中に身はかくれけり/機嫌買い/記憶の力/幸いなる者/論理以上の真理/一家団欒の祝福/天に栄光地に平和/癖の勢力/貧乏に勝つ工夫/意志によって天性を矯めよ/下って人に仕えよ/顧みて恥なきか/旧を捨て新に就かん |
一日一言人名索引 (五十音順) |
あとがき 大阪市立大学名誉教授 佐藤全弘 |
新渡戸稲造生誕140年を記念して、名著『一日一言』を発刊した。
この著書は、旧制一高の校長を辞任した新渡戸稲造が、翌年大正3年7月、郷里岩手を訪ね、講演旅行中に、宮古から盛岡へ帰る途中、乗っていたバスがガケ崩れに遭って転覆、負傷した稲造は、盛岡の岩手病院に入院する。
入院は約一週間、その間に構想をまとめ、翌年2月に実業之日本社から発行した。
大正期を通じてのベスト・セラーとして国民に愛された本である。
一日に短章を読んで心の糧にする習わしは、聖書日課として昔からあった。
諸家の文を一書に編んだものは、18世紀ドイツのボガツキーK.H.von Bogatzky(1690-1774)の「神の子らの黄金の箱」が初めてである。
日本での類書は本書が最も古いものの一つである。
札幌農学校の同期生内村鑑三が「一日一生」を出したのは昭和元年である。
本書には大きい特色がある。
(1)文が簡潔 (2)引用人名中、西洋人は14人、他は日本人 (3)引用の和歌のかなりの歌が新渡戸の自作である。
魂の栄養不良時代に本書が詳しい注を付けて世に出ることの意味は深い。
珠玉の「一日一言」である。
(内川永一朗 財団法人新渡戸基金事務局長)
盛岡市先人記念館/花巻新渡戸記念館
(株)東山堂書店(盛岡市)/(有)さわや書店(盛岡市)/誠山房(花巻市)/丸善 盛岡川徳店(盛岡市)/みみずく書房(盛岡市)/宮脇書店(水沢市)/ブックランドいとう(陸前高田市)
(2002/11現在、順不同)
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