財団法人新渡戸基金 編集発行

2002年9月1日発行 2,000円(消費税込)
A5判 248ページ

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新渡戸稲造研究 第11号 目次

序        財団法人 新渡戸基金

一、随想

「二十一世紀に引き継がれる新渡戸精神」堀達也(北海道知事)
「米大統領が『太平洋の懸け橋』に思い」辰巳知二(共同通信社外信部)
「新渡戸稲造の三大痛恨事」岩佐正章(岩手大学工学部建設環境工学科 助教授)
「稲造と遺愛女学校の関連」作山宗邦(遺愛女子高等学校講師)
「フィンランドから新渡戸稲造を思う」フレドリクソン・静香(会社員 ヘルシンキ在住)
「新渡戸博士の足跡をたどって」片山雅文(産経新聞ロサンゼルス支局長)
「東京医療生協創立七十周年を迎えて」池澤康郎(東京医療生活協同組合理事長)
「二十一世紀の生き方を考えて」中津燎子(エッセイスト)
「新渡戸裁定方式を北方四島にも」岩島久夫(国際政治軍事問題アナリスト、聖学院大学院客員教授)
「私の心に生きる新渡戸先生」湊くに(東京文化学園同窓会会長)
「新渡戸稲造先生の足跡をめぐる」山口周三((財)建設業取引推進機構専務理事)
「多様性と共生の関係」原田明夫(検事総長)

二、産業組合運動に心を燃やした晩年の稲造

鳥居清治(新渡戸稲造研究家)

三、新渡戸稲造博士を語る生誕一四〇年記念座談会

木村守男青森県知事
増田寛也岩手県知事
加藤幹雄(財)国際文化会館常務理事
内川永一朗(財)新渡戸基金事務局長
司会 佐藤みさ子

四、「国際化時代と新渡戸稲造」−日本復興に尽くした新渡戸博士の愛弟子たちに学ぶ−

加藤幹雄(財)国際文化会館常務理事)

五、矢内原忠雄と新渡戸稲造

佐藤全弘(大阪市立大学名誉教授)

六、「武士道」から「平民道」へ

シリル・H・パウルズ
権並恒治 訳

七、エルキントン家と新渡戸稲造

ディビッド・C・エルキントン

八、新渡戸稲造と河合道

石井留奈(桜美林大学大学院 博士課程 国際学研究科)

編集部解説
未来を照らす新渡戸稲造の国際的功績

特別掲載
「ブッシュ大統領、日本国会での演説」

(訳は駐日米国大使館による)

資料

一、遺愛女学校で新渡戸稲造が「恩」と題して講話
二、「廣池先生の研究の世界的意義」 大阪毎日新聞社顧問 法学博士農学博士 新渡戸稲造
三、開運の鍵−婦人の運命の転換− 法学博士農学博士 新渡戸稲造
四、分福論 東京帝大教授 法学博士農学博士 新渡戸稲造

解説

日本が世界に誇る国際人・新渡戸稲造博士の業績を通じて国際理解の資料を提供、内外の関係者に貴重な指針を与えている『新渡戸稲造研究』第11号が発刊された。
この研究誌は、彼の業績、過去の資料を適宜掘り下げ、今日的意義を随時紹介してきている。

新渡戸稲造の国際人としての面目は第一次大戦後、バルト海のオーランド諸島の領土紛争を収拾した「新渡戸裁定」に発揮された。その今日的意義は、『新渡戸稲造研究』第7号に特集した。

最晩年の新渡戸稲造は産業組合中央会岩手支会長に選任され、また、岩手県産業組合青年連盟総裁に就任して郷里の農村の若者とともに協同組合運動にエネルギーを燃やそうと決意する。
それを顧みて新渡戸研究の最長老鳥居清治氏が「産業組合運動に心を燃やした晩年の稲造」と題する論考を寄稿している。
産業組合運動の指導者となった新渡戸稲造は、地域に在っての共存共栄の理念も国際的のそれも同じだと説く。彼の生涯を通じての行動の白眉は、地域社会と国際社会との理念を結合させようと尽力したことだと言うことができる。

国際化時代だと言われて久しいが、この時代を生きるわれわれに、新渡戸稲造は多くの教訓を垂れている。日本の行く末を考える教材になっているのが『新渡戸稲造研究』誌である。

(内川永一朗 財団法人新渡戸基金事務局長)